物件探しをする際の、大きな条件のひとつが間取り。部屋数や部屋の広さで家賃も大きく変わってくるが、意外と家賃が安くなるのが、畳敷きの「和室」の部屋がある物件だ。築年数が古い物件が多いこともあり、同じような立地・間取りの物件と比べると、比較的家賃も安くなりがち。とはいえ、和室で暮らしたこともない若者も増えている昨今、和室での生活を想像できない、という人もいるかもしれない。若い世代を中心に、実際に和室物件に住んだことのある人たちに、住んでみないとわからない“本当の住み心地”を聞いた。
畳は髪の毛やほこりが目立ちやすい面も
家賃の安さに惹かれて、1DKの物件に住むことにしたというのは、IT企業に勤める20代男性・Aさんだ。ワンルームから築40年の1DKの物件に引っ越しを決めた。
「今より広い物件に住みたかったのですが、少しでも固定費を抑えたいので、古くてもよいので家賃が安い物件を探していました。すると水回りリフォーム済み、駅もスーパーも近い物件を発見。相場よりも安くて驚きましたが、寝室が『和室』で躊躇……。和室なんて祖父母の家にあるくらいで、実家にもありませんでした。不安でしたが、大家さんがそこからさらに5000円も家賃を下げてくれたので、もう住むしかないと決めました」(Aさん)
最初は慣れない和室に抵抗があったというAさん。住み始めた当初は、和室にマットを敷いて畳を隠していたという。だが、住んでいるうちに心境に変化が起きた。きっかけは、夏の日に触れた畳の気持ち良さだった。
「夏に素足で畳を歩いたら、肌触りが良かったんですね。その後も寝っ転がることが増えて、畳も悪くないと思いました。ただし畳は髪の毛やほこりが目立ちやすいので、こまめに掃除が必要。カビも生えやすいので風通しにも気を遣い、雨の日にはサーキュレーターを回しています。案外僕は昔ながらのレトロな生活が好きなことに気が付きました」(Aさん)
和室物件に住んだことで生活スタイルにも影響が及んだ。
「西日が射し込む畳の部屋で、ちゃぶ台の上にノートPCを広げて仕事をすることもあります。友人を呼んだら、『めちゃくちゃエモい!』と騒いでいました(笑)。ベッドから布団で寝る生活に変わったので、友人が急に遊びに来てもスペースが広く取れることもメリットとして感じています」(Aさん)