4月に引き続き株式市場は上値の重い展開が続いている。5月は「セルインメイ」という相場のアノマリーも意識されるが、今後の市場にどのように向き合っていけばよいのだろうか。株やFX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、過去の傾向を振り返りつつ、5月の相場見通しについて解説する。
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5月は「セルインメイ」と呼ばれ、外資系の決算月ということもあり、投資家が株式を手放しやすい時期ともいわれます。「5月に売って立ち去れ、セント・レジャー・デー(9月の第2土曜日)まで戻ってくるな」という格言もあるくらいです。
この格言はどれくらい信頼できるものなのでしょうか。ここ数年(2017年から2021年)の5月初日から9月末のNYダウの終値を比較したところ、以下のような結果になっています。
・2021年:34113ドル→33843ドル
・2020年:23730ドル→27905ドル
・2019年:26430ドル→26916ドル
・2018年:24099ドル→26458ドル
・2017年:20913ドル→22405ドル
格言通りなら5月が高くて9月末が安いはずですが、必ずしもそうした展開にはなっていないようです。相場にもその時々で様々な環境要因があることから、投資家の人はこうした格言ばかりを鵜呑みにせず、一旦立ち止まって、そうならない可能性もしっかりと見極めることが大切です。
ただし、年間を通してみると5月に安値をつけるケースも散見されるため、下落しやすい傾向にあることは、頭に入れておいてもよいかもしれません。
そもそもなぜ「セルインメイ」と呼ばれるのか。ヘッジファンドの45日ルール(*)が影響しているともいわれますが、実は明確な理由というのは存在していません。
【*注:ヘッジファンドの顧客がファンドを解約する際、決算日の45日前までに解約を申し込む必要がある】
セルインメイという言葉がマーケットの中で浸透し、その意識が投資家に強く残っていることで、株式市場が上昇しにくくなるということは考えられます。
今月はアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)で0.5%の利上げが発表されました。今後も0.5%ずつ引き上げると予想されており、利上げスピードについては注意が必要です。また、ウクライナに侵攻したロシアの動向も市場を動かす要因となっているので、注視しておきたいところです。
今の株式市場については、5月に大きく上値を伸ばしていくことはイメージしづらいですが、ここから大暴落することも想定し難く、目先は上値が重い展開が予想されます。投資家の人は、チャートの値動きに注目して、テクニカル分析のサインが出たら売買するというやり方をしていればよいと思います。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)