牛丼チェーンにおいて、定食メニューでライスの大盛やおかわりが有料だったことを、難点と捉える消費者もいただろう。個人経営の定食専門店では、ご飯大盛り無料、おかわり自由というサービスは決して珍しいものではない。チェーン店でも『やよい軒』のようにおかわり自由のケースもあり、さらにはとんかつ店やラーメン店でも、ライスおかわり自由のサービスを実施する店舗は多い。
「ボリュームを重視する消費者にとっては、“ライス大盛・おかわりが無料である”ことが、店選びの判断基準になりやすく、その点でこれまで牛丼チェーンは不利だったんです。でも、ここにきて吉野家と松屋が定食メニューのライス増量を無料化したことで、ボリュームを求める消費者を取り込む可能性が高まってきたと言えます。ライスでのサービスは、値上げによるビハインドをカバーするというだけでなく、ボリュームを重視する客層へのアピールという目論見もあるのではないでしょうか」(小浦氏)
値上げが避けられない状況の中、外食チェーンは消費者の満足度を高めつつ、納得してもらえるかたちで値上げする方法を模索している。松屋のグランドメニュー改定には、その努力が垣間見えるだろう。