投資情報会社・フィスコが、株式市場の5月9日~5月13日の動きを振り返りつつ、5月16日~5月20日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で575.91円安(-2.13%)と大幅に反落。終値で13週、26週移動平均線を下回った。
週初9日の日経平均は684.22円安と急落。米4月雇用統計の結果を受けて労働市場の逼迫が再確認され、連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めへの警戒感が一段と強まった。米10年債利回りが2018年11月以来の高水準を記録するなか米ハイテク株安を受け、日経平均も急落を余儀なくされた。10日は152.24円安と続落。FRBの急速な利上げや都市封鎖(ロックダウン)が続く中国経済の減速などを背景に、景気後退懸念が強まるなか投資家のリスク回避の動きが継続。日経平均は一時500円超下落したが、突っ込み警戒感が台頭するなか急速に買い戻しが進展し、26000円を回復して終了。
11日は46.54円高と小幅反発。米4月消費者物価指数(CPI)を前にした警戒感から持ち高を傾けにくいなか、方向感に欠ける動きとなった。朝安後は切り返して堅調に推移していたが、午後に決算を発表したトヨタ自<7203>の今期見通しが市場予想を大きく下回ると機械的な売りが出たと思われ、日経平均も連れ安する展開に。
12日は464.92円安と再び大幅に反落。米4月CPIが予想を上回ったことで、インフレ高止まりによる金融引き締め加速などの懸念が再び強まった。ハイテク株を中心に売りが加速し、米主要株価指数が揃って年初来安値を更新するなか、東京市場も下落を強いられた。突っ込み警戒感から買い戻しが入り、午前中ごろにかけて一時26000円を回復したが、心理的な節目を回復した目先の達成感からその後は再び売り優勢の展開となった。
週末13日は678.93円高と一転して大幅反発。ナスダック総合指数が小幅ながら反発したことで安心感が台頭したほか、前日に500円近く下落していたことから朝方から買い戻しが先行。5月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)は25951.24円で、これを早々に上回ったことで一気に買い戻しが強まった。また、米長期金利が低下するなか、本決算を発表したソフトバンクG<9984>があく抜け感から12%高となるなど、指数寄与度の大きい値がさのハイテク株の急伸劇も指数を押し上げた。
今週の日経平均は堅調な展開か。急ピッチで調整している米株市場だが、目先は修正リバウンドが入ると想定され、米主要株価指数の反発に並走する形で、東京市場でも先週末のリバウンドが継続すると予想。
注目された米4月CPIは総合と変動の激しい品目を除いたコアがともに前年比でも前月比でも市場予想を上回った。今までインフレをけん引してきたモノ・財に関する価格にピークアウト感が見られた一方、新たにサービス分野での価格上昇が目立った。特に、下方硬直性を有し、CPIでの構成比率が高い住居費は3カ月連続で前月比+0.5%と高止まっており、気がかりだ。米4月卸売物価指数(PPI)は総合の伸びが前年比で予想を上回った一方、コアでは予想を下回り、インフレ懸念とインフレピークアウト期待のどちらにも軍配が上がらない結果となった。