5月も半ばを過ぎ、新生活に慣れてきた人も多いだろう。子供が幼稚園や学校などに通う家庭では、新学期の始まりに伴い、保護者会の役員が決まり、年間行事の準備が始まっているのではないだろうか。だが、夫婦共働きが当たり前の昨今、保護者会の役員になることが生活の大きな負担になるケースもある。くじで子供が通う幼稚園の保護者会役員になってしまったという30代パート主婦に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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幼稚園や保育園、小学校などの保護者会・PTAなどの役員決めは、多くの保護者が頭を悩ませる問題だ。役員の仕事は園や学校によって異なるものの、クラスの連絡係や行事の運営、時には先生のサポート業務など幅広い。役員を務める保護者の負担が大きく、問題視されるケースも少なくない。
特に最近は、共働きのため役員会の活動に時間を割くのが難しい保護者も多い。そのため、保護者に過度な負担がかからないよう、園によっては保護者全員に平等に仕事を割り振るケースや、保護者が行事に携わらないケースもあるようだ。だが、現実にはまだまだそうした事例は少数派かもしれない。
夫婦2人、子供2人の4人家族という都内在住のパート主婦・エミさん(仮名、36歳)は、3歳と5歳の子供を、学習指導に定評のある地元の幼稚園に通わせている。今年度、その幼稚園の保護者会役員になってしまったと頭を悩ませていた。
「くじの結果、役員に選ばれてしまいました。幼稚園の先生は『大変な仕事は特にないので安心してください。働いている保護者の方も多いですよ』と言ってくれたので安心していたのも束の間、第1回目の役員会で、現実を知ることになったんです」(エミさん、以下同)
役員会は幼稚園の一室を借りて月に1~2回ほど開催されるが、欠席する場合は、「代理で出席してくれる保護者」を探さなくてはならないという。前年度までは、コロナ対策として密な環境を作らないよう“オンライン役員会”が開かれたが、今年度の会長が「実際に集まったほうが、意見交換が活発になるから」と指摘。オンライン役員会は廃止になってしまった。