レッスン終わりに「スマホの操作を教えて」
フィットネスクラブでインストラクターとして働くマオさん(仮名・23歳)は、レッスンが終わるたびに高齢の会員たちに囲まれてスマートフォンの操作法を聞かれることに、うんざりしているという。
「私が働くフィットネスクラブは元気なシニア会員が多く、皆さんいろいろなことに興味津々。最近のブームはSNSで、レッスンが終わると私のもとに駆け寄って、私との写真を撮ってSNSにアップするんです。そのたびに、『文字のデコレーションはどうやったらいいか教えて』とか、『加工で肌をきれいにしたい』などスマホの操作法を教わろうとしてくるので困ってしまいます」(マオさん)
時には、スマートフォンの再起動やデータのバックアップの取り方なども聞かれるという。「専門的なことはわからない」と言っても、「えー、若いんだから知ってるでしょ」と、引いてくれないとか。
最近のマオさんのレッスン参加者はSNSにハマっている一部の高齢会員たちが中心で、それ以外の会員が入りづらい雰囲気があるという。それでも「注意したいけど注意するのが怖い」と話すマオさん。いったい何があるのだろうか。
「規模が小さな地域密着型のフィットネスクラブということもあり、どのインストラクターも会員さんからの評価には敏感です。特にシニア会員さんは地域の事情通であることが多いので、彼らとの関係がこじれたりすれば、すぐに噂は拡散します。新しいものに意欲的なのはとても素敵なことですが、それでこちらの業務に支障が出てしまうのは正直辛いです」
健康増進、仲間づくり、大浴場利用など、フィットネスクラブに通うことで得られる高齢者のメリットは大きい。時間とお金に余裕があるシニア層がフィットネスクラブに集まるのも納得だ。しかし、なかには運営側の対応が追いついていない施設もあるようだ。この先に必ず訪れる“超・超高齢社会”に向けて、対応が求められているように感じた。