賃貸物件には物件を借りる側に対し、貸す側である「大家さん」がいる。部屋ごとに大家(オーナー)が異なる分譲マンションや、物件を所有しているだけで管理は業者に任せているケースなど、大家の顔が見えない物件も少なくない。一方で、大家が入居者と同じ物件や敷地内、あるいはすぐ近所に住んでいるなど、その距離が“近い”ケースもある。大家との距離が近い物件に住んだことがある人たちに、その住み心地と思い出を聞いた。
手作りのお惣菜をおすそ分けしてもらった
Webディレクターの30代男性・Aさんは、木造一軒家で2階に大家が住んでいる物件の1階に住んでいる。そこに住むことに決めたのは、「面白そう」と思ったのがきっかけだったという。
「2階に大家さんが住んでいると聞いたとき、面白いしアットホームな感じがしていいかもと思いました。何かあっても安心感がありますよね」(Aさん)
実際に住んでみると、大家が身近にいることで得られる恩恵があった。
「大家さんは一人暮らしで80歳近い女性なのですが、手作りのお惣菜を持ってきてくれたり、顔を合わせた時には何気ない雑談をするなど、ちょうどいい距離感のご近所づきあいみたな感じで心地良いです。いちばんのメリットは、大家さんとすぐにやり取りできるので、部屋に不具合があった時にすぐ相談できることですね。一度お風呂が壊れた時は、大家さんを2階から呼んで、すぐに対応してもらえました。前のマンションでは管理会社を通して、一旦大家さんに連絡を入れ……など、修理してもらう工程に結構時間かかっていたので」(Aさん)