投資情報会社・フィスコが、株式市場の5月30日~6月3日の動きを振り返りつつ、6月6日~6月10日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で979.89円高(+3.66%)と大幅に3週続伸。終値では13週、26週移動平均線を一気に上回った。
日経平均は前の週末にかけてナスダック総合指数が大幅に3日続伸した流れを引き継いで、週初から587.75円高の27369.43円と大幅に上昇し、27000円台を回復。しかし、その後は27500円を手前に一進一退の展開が継続。6月1日に再び1ドル=130円台に乗せた為替の円安進行や購買担当者景気指数(PMI)など中国の経済指標の改善が全体の支援要因になった。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)高官らのタカ派発言や欧州連合(EU)の対ロ追加制裁によるインフレ懸念の再燃、米長期金利の上昇などが重石となった。それでも、2日の米株市場でナスダック総合指数が大幅に反発したこと手掛かりに、週末は米5月雇用統計を前にした買い戻しが進展し、日経平均は347.69円高の27761.57円と大幅に上昇し、27500円を回復した。
今週の東京株式市場は神経質な展開か。週末10日は6月限先物・オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出日に当たり、またその晩には米5月消費者物価指数(CPI)が発表される。メジャーSQと米CPIが近づくにつれ、徐々に警戒感が高まりそうだ。週初は先週末に発表された米5月雇用統計の結果を反映することになる。平均賃金の伸びや雇用者数の伸びが予想を上回っている場合は、週初から調整を強いられる可能性がありそうだ。
先週の日経平均は週間で1000円近くも大幅に上昇した。しかし、先週はFRBのウォラー理事が「インフレ率が当局の目標である2%に近づくまでは、0.5ptの利上げは常に選択肢にある」と発言したほか、ブレイナード副議長は9月の利上げ停止について「(現時点では)その可能性は非常に低い」と発言。5月下旬にかけて一部で高まっていたFRBのハト派転換への期待をけん制するかのような発言が相次いでいる。
5月前後をピークに低下基調にあった米10年物の名目利回りと期待インフレ率も足元で再び上昇基調に転じており、特に、米10年債利回りは5月27日に2.74%だったのが、連休明けから大きく上昇し、2.9%台まで上昇してきている。