【聖地巡礼】駅を旅の目的にするのも鉄道旅のおもしろさ
聖地巡礼とは、映画やドラマ、小説、漫画などの舞台となった場所を「聖地」と称し、その地を訪れること。最近はアニメの聖地巡礼が人気だが、昔から観光コンテンツの1つだった。文筆家の蜂谷あす美さんは、こう語る。
「私は松本清張の『点と線』を読み、福岡県・香椎駅に行き、駅を降りた登場人物が『ずいぶん寂しい所ね』とつぶやくせりふを真似てつぶやいたことがあります(笑い)」(蜂谷さん)
やすこーんさんも、松本清張の『砂の器』で登場した、島根県の亀嵩駅を訪れた。
「亀嵩駅はこの小説の鍵を握る舞台ですが、事前に電話予約すると、駅のそば屋さんが『亀嵩駅そば弁当』を列車まで持ってきてくれるんです」
「愛国から幸福ゆき切符」は、昭和の時代に一世を風靡した聖地の先駆け。廃線となったが、幸福駅の駅舎や電車はいまも保存され、観光名所になっている。
【プロフィール】
鉄道ジャーナリスト・松本典久さん/1955年東都京生まれ。鉄道をテーマに著作活動を行う。著書に『紙の上のタイムトラベル 鉄道と時刻表の150年』(東京書籍)など。
漫画家・やすこーんさん/1968年青森県生まれ。駅弁や駅そばが好きな女性漫画家で、寝台特急『サンライズ』の大ファン。『やすこーんの鉄道イロハ』(天夢人)など著書多数。
旅の文筆家・蜂谷あす美さん/1988年福井県生まれ。祖父が元国鉄の車掌。慶応大学では鉄道研究会所属。JR全線完乗済。『女性のための鉄道旅行入門』(天夢人)など。
取材・文/北武司
※女性セブン2022年7月7・14日号