田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国で住宅ローン支払い拒否が相次ぐ 不動産需要拡大政策に水を差す“爛尾楼”問題

当局にとっては一刻も早く解消したい問題

 7月14日の中央テレビ局の報道によれば、銀行保険業監督管理委員会の幹部は「各社の開発案件が約束通り引き渡しできているかどうかについて、高度に重視している」と発言している。

 これを受けて、銀行側が相次いで公告を発表している。例えば工商銀行(01398)は14日、現在工事が止まっている案件で不良債権に分類されるような住宅ローン残高は6億3700万元で住宅ローン全体の0.01%に過ぎず、リスクは十分コントロールされているとしている。中国郵政儲蓄銀行(01658)も14日、同様の残高は1億2700万元で、規模も全体に占める割合も小さく、リスクはコントロール可能であるとしている。

 ほかの大手国有商業銀行、中央系都市銀行なども同じような内容の公告を発表しており、現段階では、不良債権問題についてそこまで心配する必要はないのかもしれない。

 ちなみに、マンション購入者たちのローン支払い拒否は、中国の法制度においてもやりすぎだ。ただ、中国は日米欧とは違法行為に対する処置の仕方が根本的に違う。地方政府が間に入り、個別案件ごとに、銀行、不動産ディベロッパー、購入者たちの調整を行う形で穏便に処理されることになるだろう。

 ただ、景気刺激策の有力な一手として、産業の裾野が広く、波及効果の大きい不動産に対する需要拡大策は重要であり、その点において“爛尾楼”問題は当局にとって痛手である。一刻も早く解消したいところである。

 中国銀行保険報によれば、17日、銀行保険業監督管理委員会の幹部を取材したところ、幹部は“住建部、人民銀行などと協力しながら、地方政府が更に力を入れて「保交楼、保民生、保安定」を推し進めるよう支援する”などと発言したと伝えている。

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