厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、2021年のフルタイム労働者の平均月給は30万7400円(残業代などを除く)。20年前、2001年の平均月給は30万5800円であることから、この20年間ほぼ横ばいで推移していることがわかる。
さらに、同調査の〈都道府県別〉のほか、〈学歴別〉〈雇用形態別〉の男女比較も含めたデータを見ると、日本の賃金や年収の実態が見えてくる。ファイナンシャルプランナー(FP)で「ライフプランニング ゆめたまご」代表の中村賢司さんは、こう語る。
「都道府県別では東京の年収の高さがダントツで、全国平均(489万3100円)よりも高かったのは東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫・京都の6都府県のみで、首都圏などの大都市は高い一方、地方は低い傾向にあるのは予想通り。それはアルバイトやパートタイマーの時給にも直結する最低賃金の都道府県別一覧でも明らか。東京・神奈川では1000円超えなのに、地方の福岡などでは800円台と差があります」(中村さん・以下同)
また、性別や学歴別、雇用形態別で歴然とした差があるのも事実だ。
「収入の男女格差は、女性管理職の少なさもあるでしょうが、結婚・出産でやめる人が多いという理由が日本ではネガティブに捉えられたままずっと続いているのが一因です。学歴別では高校・専門学校・大学・大学院卒での初任給の違いが、そのまま20代・30代の年収の差につながっているのが現実。だから高校くらいからそうした実情も早めに教えないといけないでしょう。
そして最も注視すべきは雇用形態別。例えば30代前半の月額賃金を見ると、正社員で28万3700円に対して、非正規は20万7600円と7割ほどです。
男女合わせた全年齢比較では正社員32万3400円、非正規21万6700円で賃金格差67%。同じく男性の場合は正規34万8800円に対し、非正規は約69%の24万1300円。同じく女性では正規27万600円に対し、非正規は約72%の19万5400円と大きな格差があります。『同一労働同一賃金』(“同じ仕事をしていれば、同じ賃金を支払うべき”という本来あるべき賃金の決め方の理念)が叫ばれる一方、非正規の急増が年収の上がらない大きな要因となったともいえます」