【6】家族との外食費を経費計上できるようにする
外食が増えて飲食店も潤い、消費が拡大する。青色申告では取引先との会食以外は経費と認められないが、実際は家族などとの外食費も、ほぼ見逃されている。
【7】子供の教育費(【1】の学校関係以外の家庭教師代、塾代、参考書代など)を経費計上できるようにする
これは当然だ。私は国公立学校を廃止し、その代わり国公立の授業料に相当するクーポンを渡して、どの学校にも行けるようにするシステムも提言している。教育を文部科学省の頸木から解放すべきだからである。
【8】子供が遠隔地の学校に進学したら、生活費や仕送りを親の収入から控除する
実家から通学できない地域の学校に進学した場合は親の負担が非常に重くなるので、それを軽減する。
【9】親への仕送りを子供の収入から控除する
【8】の逆で、子供が親に仕送りをしている場合は子供の収入から削除する。私も親に仕送りをしていたが、今後は高齢者問題がますます深刻化するのだから、行政上の対策だけでなく、税制上の措置も必要である。
【10】標準より大きな住宅、第2住宅などの優遇措置
標準より大きな住宅への優遇措置は、日本人が“うさぎ小屋”から脱却するために重要だ。したがって、標準的な住宅の土地面積や床面積よりも大きい住宅を建てた場合は税金で優遇する。また、欧米では国民が第2・第3の住宅(別荘)を持つことで経済が大きくなった。今の日本にそういうブームを引き起こせば、経済が膨らんで「低欲望社会」からの脱却にもつながる。ただし、それをエアビーアンドビーなどで貸して儲けた場合は、その収益を差し引かねばならない。
次回は、富裕層が貯め込んでいる金融資産を市場に出す政策など、残りの11項目について説明する。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『大前研一 世界の潮流2022-23スペシャル』(プレジデント社刊)など著書多数。
※週刊ポスト2022年8月5・12日号