新型コロナの感染状況が比較的落ち着いていた7月初旬まで、「夏休みに使うお金が4年ぶりに増加」や、「夏休みの国内旅行者数は対前年175%」といった前向きなニュースが目を引くことが多かった。しかし、1日あたりの新規陽性者数が過去最多を記録した第7波の到来でムードは一変。旅行予約の申し込みの鈍化や、一部でキャンセルの動きが報じられた。8月に入り、家庭内で「旅行どうする?」との話し合いが行なわれている最中の人もいるのではないか。今後の見通しが立ちにくいなか、家庭内で意見が対立する例も出てきているようだ。フリーライターの吉田みく氏がその実例をレポートする。
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都内在住の会社員ケイコさん(仮名、38歳)は、夫と5歳と7歳の息子の4人家族。コロナ第7波に襲われた今年の夏休みのおでかけについて頭を悩ませていた。
「2か月前から夏の家族旅行を計画していましたが、7月下旬から感染者数が急増してどうするか悩んでいました。感染状況が酷いなか、行っても楽しめるのか不安でしたし……」(ケイコさん、以下同)
ケイコさんが予約したのは、都内から車で1時間程度の距離にあるキャンプ場のグランピング施設。1泊2食付きの豪華なプランであることに加え、旅行代金が高騰するお盆時期であることも重なって、家族4人の宿泊代は15万円を超えるという。1泊としてはかなり高額だが、それでも決めたのにはこんな理由があった。
「コロナが流行り始めてから、我が家では長期休暇の旅行を自粛してきました。収束したわけではありませんが3年目になりますので、今年の夏休みは感染対策を行ったうえで近場で贅沢な旅行をしようと決めていたんです。久しぶりの旅行を前に夫と息子たちは『虫捕りしよう』『花火しよう』などと今からとても楽しみに計画を立てています。ですが私は第7波の報道を聞いてモヤモヤ……。そんな家族間の温度差から意見が衝突してしまいました」
夫と息子たちは、宿泊予定のグランピング施設は密になりにくく、移動も車を使用するので感染対策はしっかりできると考えており、第7波と言われるなかでも旅行に前向きだという。一方のケイコさんは、職場仲間やママ友、近所の目が気になってしまい、行っても楽しめないのではないかと不安になっていた。