駅弁のある駅は約250。その出会いを大切に!
最新傾向を含め、駅弁の歴史を振り返ると、その流れに大きなうねりが見えてくる、と福岡さんは言う。
「幕の内弁当と助六寿司の定価販売が基本だった駅弁の、内容や価格の統制が解かれたのが 1970年。
明治からあったあゆ寿司や、昭和に親しまれたうなぎ弁当や栗めしはほぼ消え、当時珍しかったイクラ・うに・かに・帆立貝・サーモンなどを使った駅弁が平成から北日本に普及。肉の駅弁も、かつては鶏肉が人気でしたが、21世紀は牛肉へと傾向が変わりました」
JRと私鉄を合わせて約1万駅あるうち、駅弁のある駅は250ほど。
「駅弁は昔ながらの風情や味覚を求められる一方、目新しさがないと生き残っていけない。食べてうまかった新作の駅弁が歴史を重ねたり、駅弁ごとの特徴やこだわりによってその郷土の名物や名産を知ることができたり……面白がって味わうことができることこそ駅弁の魅力なのです」
■ウェブサイト駅弁資料館
JR・私鉄などを含めて「日本の鉄道全線完乗済み」の乗り鉄にして、時刻表マニア、かつ駅弁愛好家の福岡さんが、2001年、ネット上に開設した私設「駅弁資料館」。現在8533種(写真掲載6594種・紹介文のみ42種・掛け紙のみ1897種)の駅弁情報を収蔵・展示。実際に食べた駅弁を中心に日本全国と世界の駅弁を紹介。
取材・文/北武司 写真提供/JR東日本クロスステーション
※女性セブン2022年8月18・25日号