結婚して夫家族と同居を始めてから2か月もたたないうちに、夫が出勤すると、近所に住む義理の姉さんがやって来ては、姑と並んで、「形だけの入会でいいからS教の施設に行ってほしい」と言い出したんだわ。
「そんなつもりはないから」と、そりゃあ抵抗したわよ。そうしたら「長男の嫁になっていまさら何を言うの。うちの宗教に入らないということは、うちを馬鹿にしているってことだからね!」と姑の目がどんどん三角になっていく。
その横で義姉さんは「そんなに堅苦しく考えなくてもいいのよ。今日ちょっとだけつきあってくれたらいいんだから」となだめにかかる。なだめたり賺したり、刑事ドラマのワンシーンのようだ。
「実は今日、うちのお嫁さんが入信するって、お寺にお願いしちゃったのよ。ね、今日はなんにも家事しなくていいから」とひたすら懇願調の義姉に私は口を開かずにいた。すると──。
(第2回につづく)
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2022年9月8日号