山本さんは、50代以上の女性は特に調理に伴う重圧を受けやすいと続ける。
「この世代の男性は料理の習慣がない、スキルが低い人の比率が高く、妻の方に負担がかかりやすい。加えて、冷凍やレトルト食品なしで調理をこなしてきた親世代からは『冷凍食品は体に悪い』とか『手抜きはダメ』と言われて育った人が多い世代です。子育ては手料理でがんばりましたが、子供が独立して家を出た後、夫のためだけに料理に悩まされるのは“割に合わない”と感じるのは、当然のことかもしれません」
社会的な背景もある。
「50代女性が社会に出た時期は、男女雇用機会均等法が施行された1986年前後と重なります。当時は女性の総合職も増えつつあったものの、結婚・出産を機に退職して専業主婦になる人も多かった。いまは子育てが終わって働いている人もいますが、パートや契約社員の非正規労働も多いです。すると夫が家計を支える代わりに、家事はおのずと『妻の仕事』になる。料理が一方的な義務と化した結果、楽しめなくなったとも考えられます」(夏山さん)
※女性セブン2022年9月15日号