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行動経済学でひもとく“お金の哲学”「目の前の現金」と「先々の得」どちらを選ぶべきか

1か月後に1万5000円もらうのと、2か月後に1万8000円もらうのとでは、どちらを選びますか?

1か月後に1万5000円もらうのと、2か月後に1万8000円もらうのとでは、どちらを選びますか?

リスクが発生する可能性も計算に入れて選択・行動する

橋本:では次の質問です。もらえる金額はQ1と同じですがタイミングが異なります。

【Q2】1か月後に1万5000円もらうのと、2か月後に1万8000円もらうのとでは、どちらを選びますか?

オバ記者:これも即答。条件なしでもらえるなら、少しでも早い方がいいに決まっているわ。

橋本:おや、これも即答ですか。ふむ……。実は、この質問に答えたほとんどの人が「2か月後」を選んだんですよ(別掲図参照)。Q1、2ともに、待つことによって増える金額(3000円)は変わりません。にもかかわらず、もらえるタイミングが変わると、人の気持ちはガラッと変化するんです。
 
「現在から1か月後までの1か月間」と比べて「1か月後から2か月後までの1か月間」の変化は少ないのです。それだけ「いま」もらえるものの価値が高いのです。だから、目先の利益に左右されず、落ち着いて物事を判断しましょう──というのが、この実験結果から導かれる教訓なんですが……野原さんの選択はそれとは違って、超少数派ですね。

オバ記者:だって2か月も先となるとイメージが?めないよ。来月の支払いの足しになるかどうかまで。

橋本:たとえば「2か月待てば、1か月後の倍の金額をもらえます」と言われても変わりません?

オバ記者:ええ。だって、目の前にある現金ほど確かなものはないもの。2か月後の何を信じます? 相手が銀行だって信じないよ、私は。銀行相手に何度怒ったことか。銀行の都合をこっちが聞かなくちゃいけない理由はどこにもないでしょ。

橋本:まぁまぁ、銀行へのお怒りはともかくとして……。野原さんの選択を聞いて思い出した話があります。人の祖先が狩りをして暮らしていた石器時代、2つのグループが獲物の子鹿を発見したと想像してください。
 
 グループAは「鹿が大きく育ってから狩ろう」と判断し、子鹿を逃しました。グループBは「また見つけられるかわからないから」と子鹿をすぐに狩って食料にしました。その結果、目の前のチャンスを逃さなかったグループBの祖先が生き残ったと考えられています。「また今度」なんて悠長なことを言っていたら、昔なら死んじゃっていたわけです。

オバ記者:だと思うわよ。

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