忘れ物も多く、学校まで慌てて届けるのはしょっちゅう。中学校まで片道30分、小学校まで20分の自転車での道のりは急坂もあり、息切れしてつらい。それを息子夫婦に愚痴ると「忘れ物なんか自己責任。甘やかす方が悪い」と叱られたという。島田さんはあきらめ顔で「ストレスで早死にしそうです」とこぼす。
教育コンサルタントの河村都さんは1つの例として、こんな案を挙げる。
「孫育てに協力する場合、対価としてお金をもらう取り決めもアリ。時間という価値のあるものを犠牲にするわけですから、お金をもらって当然だと思っていいのです。もちろん親子関係によるし、何のために孫を預かるのかにもよる。お金によってお互いがスッキリする場合もあるため、ケースバイケースでしょう」
不満を持っていることを伝え、話し合うことが先決だ。
「こうやって生きたい」と示すことが大事
同居や近隣に孫が住んでいなくても、負担がのしかかる場合がないわけではない。福岡県の細野小百合さん(仮名・70才)は、東京に住む娘夫婦の孫への出費に頭を抱える。なかなか会えない孫娘がバレエを習いたいと言うので、「月謝だけでも出すわ」と言ってしまったのが運の尽きだった。
「小さい頃は思っていたほどお金はかかりませんが、小学生以上になると発表会のたび10万円単位でかかるようになった。請求されて言葉に詰まると、娘に“孫がかわいくないの?”と言われました。そうなるとどうしようもありません。ほかにもお小遣いをねだられて……。老後資金を取り崩して送っていますが、資金も尽きそうです」(細野さん)
1回きりのレッスン代だったら、出してあげてもいい。しかし、それが何年も続くものだとすれば、きちんと計算すべきだと河村さんは言う。
「金銭的な支援が長く続けば、厳しいという人の方が多いはずで、“1回なら出してあげられるけれど、あとは出せない”とはっきり宣言することが大事。お互いに無理しないことがいちばんです。子供は祖父母ではなく親が育てるものであって、親がお金を出せる範囲の習い事をさせればいいのです」(河村さん・以下同)