10月17日午前9時30分頃、発生したみずほ銀行の法人向けインターネットバンキングサービスでシステム障害。前週の10月14日には、みずほフィナンシャルグループ(FG)と傘下のみずほ銀行が、昨年11月に出された金融庁の業務改善命令に対する業務改善計画の進捗状況を報告したばかりだった。大規模なシステム障害を繰り返していることで、みずほ銀行への世間の目は厳しさを増している。
今回のシステム障害についてみずほFGは、「原因のさらなる究明などを含め、再発防止に取り組んでまいります」(コーポレート・コミュニケーション部)としたうえで、具体的な再発防止策についてこう説明する。
「まず、システム障害の未然防止の観点から、重要システムを選定し、順次点検・改善対応を実施します。また、障害対応力向上のため、主要決済業務を中心にIT部門とユーザー部門が連携してお客さま対応に関する点検・訓練をする枠組みを構築。さらに、組織全体の変革を進めて今年9月までにインフラ整備や枠組みの強化を完了。今後は現場・本部とのコミュニケーションを通じた実態把握・対策協議を深化・定着化に取り組んでまいります」
金融ジャーナリストの浪川攻氏はこんな見方をする。
「過去の一連の障害は基幹システムに生じ、その後の対応にも問題があるという深刻なものだった。しかし、今回は障害対応も速やかだったように見えます。銀行は信頼性こそが最大の価値ですから、こうした対応の積み重ねが、真に企業風土が改善されているかを判断するうえでの試金石となっていくでしょう」
前提として、システム障害はみずほ銀行だけで起きているわけではない。金融庁によると、日本の金融機関全体で2020年度に約1500件の障害が発生したという。
「システムが存在する以上、障害の発生は不可避。そのなかで、みずほばかりが注目されるのは、やはり頻発していることと、過去に対応の遅れが目立ったことが大きい。これまで失敗を重ねた責任が同行にあるのはたしかですが、新聞やテレビの担当記者たちはネットの掲示板などにまで目を光らせ、ことさらにみずほをチェックしている。だから、たとえ小さな障害でも、みずほなら大きな記事になるという側面はあるでしょう」(浪川氏)