世界的な金融危機がお兄ちゃんの人生設計を台無しにしてしまうのではないか──。NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、10月26日に放送された第18話で、東大に進学したヒロイン岩倉舞(福原遥)の兄・悠人(横山裕)が「投資家を目指す」宣言をしたことで、視聴者から心配の声が続々とあがっている。
久しぶりに実家に顔を出して、両親に大手電機メーカーへの内定を報告した悠人だったが、「3年で辞めるつもりやねん」と告白。すでに在学中に株で2000万円稼いでおり、「はよ、独立して、投資家になんねん」と語った。夢は「指一本動かすだけで億を稼ぐ人間になる」ことだという。
このシーンを見た視聴者が悠人の将来を心配したのには理由がある。ドラマ内が2004年の設定だからだ。その4年後の2008年には「リーマンショック」が待ち受けているはずで、一時Twitterで「リーマンショック」がトレンド入りする事態となった。
視聴者がそれほど心配するリーマンショック時の投資環境は、どのようなものだったのか。当時のマネー誌編集者が振り返る。
「2000年代初頭はネット証券が普及してきて、個人投資家が一気に増えた時期です。ITバブル崩壊で底を打った後の株価は右肩上がりで、日経平均株価も2003年の7607円を底値に2007年には1万8297円まで2倍以上の上昇を見せました。『株を買えば上がる』と考えていた投資家も少なくなかったのではないでしょうか。
ところが2007年秋にアメリカのサブプライムローン問題が顕在化し、ここから一気に雲行きが怪しくなります。ここで損失を負った投資家は、なんとかして負け分を取り戻そうとしましたが、そこにとどめを刺したのが、2008年10月のリーマン・ブラザーズ破綻。世界的な金融危機が広がり、日経平均株価は一気に7000円割れまで進みました」