Aさんは地方の公立進学校の特徴として、「地元の国立大学に進学させようとする勢力が強い」と苦笑いする。Aさんの母校も、3人に1人は地元の国立大学に進むが、Aさんは東京を志した。親には、奨学金で通うからと納得してもらった。
とはいえ、難関国立大学に合格すれば、学校では“時の人”となる。学校案内で取り上げられたりするケースも多いという。
「でも、『本物の進学校』では、そんな大騒ぎしないですよね(笑)。小学生の時から塾に行っていたという話を聞くと大変そうだなと思いますが、高校時代になると、部活やバンド活動をやっていたりして、適度に青春を謳歌しつつ、余裕を持って合格する人が多い印象があります。
大学の授業や課題なども、要領良くこなすイメージです。中高一貫校出身の人と話をしていると、処理能力が高く、頭の回転も速いことを実感します。幼少期からのトレーニングの成果なんでしょうか……。私は正直、高校まではチヤホヤされましたが、大学に入ってから、本当に頭のいい人たちを目の当たりにしました。
でも、そんな中で、友人から言われた『Aさんはコツコツできてすごいじゃん』『ゆっくり人の話を聞けるのは、能力だよ』という言葉には救われましたね。むしろ、東京に来て、“すごい人”をたくさん見ることができて良かったです。その経験がなければ“井の中の蛙”になるところでした」(Aさん)
“推薦で大学に行く人”は優秀だと思っていた
メーカーに勤める30代男性・Bさんは、某都立高校から難関私立大学に進んだ。そして、自身が高校在学中に、「自称進学校」であることに気づいたと述懐する。
きっかけは、小学校時代の同級生で、中学受験を経て偏差値70オーバーの進学校に通う友人の話からだったという。
「僕が通っていた高校は、1学年200人くらいで、毎年東大に数人合格。医学部に行く人も数人いて、早慶に合格する人は数十人いる。割と進学校と言われることが多かったんです。でも、ガチ進学校とは、そもそも受験へのスタンスが違うんですよね。
僕は、“推薦で大学に行く人”は優秀だと思っていたけど、友人の学校では、『東大の推薦ならまだしも、それ以外なら普通に受かるから、推薦で行く必要がない』とのこと。そういう話を聞いていると、僕の通っていた高校は、“自称”もしくは“ギリギリ”進学校、いや、そもそも進学校ではないのかもしれない、と思うようになりました」(Bさん)