11月1-2日に開催されたFOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長は「政策金利の最終到達点は従来の想定よりも高くなる」などと発言。これを受けて、市場が抱いていたFRBのハト派転換期待は剥落した。3日、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は来年5月頃をピークとする形で5.2%弱まで上昇し、米10年債利回りも同日、4.15%まで再び上昇してきた。ただ、10月下旬に一時上回った4.3%台にまではまだ距離があり、金利の上昇余地は多分に残されていると見受けられる。雇用統計で平均賃金の伸びなどが上振れた場合、金利の上昇を通じて株式の売りが一段と強まるだろう。
また、今週はイベントが盛り沢山だ。8日には米中間選挙が予定されており、10日には米10月消費者物価指数(CPI)が発表予定。中間選挙では下院で野党・共和党が過半数の議席を獲得することが見込まれており、上院は接戦の予想となっている。仮に、共和党が上下の両院で過半数を獲得すると、民主党のバイデン大統領の提案する政策の多くが成立にあたって難航することになる。
ただ、インフレが問題になっている中、政策審議が難航する方がかえって財政政策によるインフレ加速という悪いシナリオの実現可能性が低くなるため、好都合とも捉えられる。また、過去を振り返ると、中間選挙の結果がどうであれ、選挙が実施される11月から翌年4月までのS&P500指数の株価パフォーマンスは良好という経験則が市場では知られている。こうしたアノマリーが意識される形で、相場が底堅く推移する可能性も残されていよう。この場合、米10月雇用統計と米10月コアCPIで指標の減速が確認されれば一段高のシナリオもあり得る。
一方、雇用統計もコアCPIも予想を上回るとなると、FOMC後の売りの流れが続き、相場は下値模索の展開となる恐れがある。この場合、中間選挙で上下両院を野党・共和党が制していると、アノマリーを無視する形で債務上限問題など悪い部分だけがクローズアップされ、相場が荒れ模様となる可能性にも留意したい。
今週は7日に中国10月貿易収支、8日に日銀金融政策決定会合の主な意見(10/27~28開催分)、9月家計調査、9月景気動向指数、米中間選挙、9日に10月景気ウォッチャー調査、中国10月CPI、10日に10月工作機械受注、米10月CPI、11日にオプションSQ、10月企業物価指数、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。