ビジネス

「新興宗教と女性」の強い結びつき 教団内部には「アパ勤女を狙え」のスローガンも

霊感商法に関する相談の8割が女性

霊感商法に関する相談の8割が女性

新興宗教が巧みについてきた女性の弱み

 1980年代半ば、「アパ勤女」を標的にした背景にあったのが「女性の社会進出」だ。戦後、それまでの家制度を捨て、再出発を果たした日本。焼け野原から立ち上がった高度経済成長期を支えたのは、「男は仕事、女は家庭」という役割分業だった。

 だが、時代が下るとともに女性の地位向上が叫ばれ、1985年に男女雇用機会均等法が成立し、女性の社会進出は大きな一歩を踏み出した。一方で、日本社会の男女差別はなかなか改善しなかった。それが新興宗教につけ入る隙を与えたと語るのは、近著に『カルト宗教』がある全国統一教会被害対策弁護団副団長の紀藤正樹弁護士だ。

「女性の社会進出が唱えられても、給料の厚遇や昇進など労働環境における男女格差はなかなかなくなりませんでした。職場で一向に認められず、思うような収入が得られない働く女性は、“自分は恵まれていない”と落ち込むようになった。その弱みを、新興宗教が巧みに突いてきたのです」

 竹迫さんも日本企業の男女格差を指摘する。

「日本の企業文化は、結婚や出産で中途退職する女性が多いとして、男性を有利に扱う傾向があります。働く女性は、同じ時期に入社した同僚が次々と寿退社し、職場に残されると『お局さま』と呼ばれました。そこで“このままの人生ではいけないな”と思い始めた矢先、“あなたは転換期にいますよ。人生を勉強しませんか”とカルトに誘われて、グラッときて入信した女性が多かった。『アパ勤女』がまさにその典型でしょう」

 せっかく就職しても男性のように働けず、鬱屈を抱える女性たち。他方で結婚しても環境は改善されるどころか、むしろ厳しくなった。

「日本の男性は会社とのつながりが深く、妻とろくに会話をしない人が多い。当然、夫婦仲は冷え切り、孤独を深めた妻は信仰に癒しを求めます。誤解を恐れずたとえれば、夫は男尊女卑の日本企業という宗教団体に入っていて、そこで置いてきぼりを食らった妻が別のカルトに入信するようなものです」(竹迫さん)

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。