旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に関する問題を契機に、新興宗教への高額な献金への注目が高まっている。安倍晋三元首相を銃殺した山上徹也容疑者の母親は教団に1億円以上を献金としてつぎ込んでいた。また、勇気ある顔出しでの記者会見に臨んだ宗教二世の小川さゆりさん(仮名)の母親は、全資産を教団に投げだし、家庭は常に貧しかったという。
特に「新興宗教と女性」の深い結びつきが浮かび上がってくるが、旧統一教会の元信者で、脱会支援活動を続ける日本基督教団白河教会牧師の竹迫之さんは、女性こそが熱心な信者だと語る。
「いま、新興宗教を偽装したカルトへの高額献金で話題になっているのは、ほとんどが女性です。結婚や出産、育児などライフステージが大きく変わる女性は、人生設計の中で思い描いていた未来を中断されるケースが少なくない。また、社会構造や文化、慣習などさまざまな要因から、カルトが女性を“カモ”にする事例が目立ちます」
日本社会はいまなお男性優位の傾向が強く、頑張っても報われない女性も少なくない、そういった状況が、女性を宗教に向かわせているとの指摘もある。
社会的な要因だけでなく、心理・精神面からも女性はターゲットになりやすい。明星大学心理学部心理学科准教授の藤井靖さんが説明する。
「心理学的に、女性同士のコミュニケーションは『知識のシェアリング』といわれて、相手と共感しあうことで関係を良好に保ち、自分の身に降りかかるリスクを共有しようとする本能を持ちます。一方で人との関係性で不和を避けようとする女性の特性は宗教の勧誘に利用されやすい。しかも現代はSNSの普及でコミュニケーションの機会が増え、勧誘される確率が高まりました」
精神科医の片田珠美さんがいくつかのポイントを指摘する。
「まず、社会で揉まれた経験の少ない女性は他人の話を真に受けやすく、世の中には人を騙す人間がいることを想像できず、勧誘に乗りやすい。また勧誘の際、“そんなにお金がかかるのは変じゃないか”など、おかしいという直感にふたをする女性や、自分に自信がなく劣等感が強い女性も口車に乗りやすい。さらに他人を喜ばせたいという願望が強い女性も、勧誘や献金を受け入れやすいのです」