2022年12月は日銀の金融政策見直しの影響もあって、円高や株価下落となるなど、年末に波乱があった株式市場。2023年はどのような展開になるか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんが、2022年の傾向を踏まえて、2023年の株式市場の動向を考察する。
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2022年の日米株式市場の推移を振り返ってみると、日本株に優位性があると言われていた時期がありました。
わかりやすく年初来安値をつけた時期を比較してみましょう。日経平均株価は3月9日、小型株中心に構成されるマザーズ指数は6月17日と、年前半から中盤に年初来安値をつけています。一方、米国の主要株価指数を見ると、NYダウは10月13日に年初来安値をつけています。安値の時期を比べると、年後半は日本株が優位に動いていたことがうかがえます。
ではなぜ2022年後半は日本株が優位に動いたのでしょうか。それには主に3つの要因が考えられます。
まず1つ目の要因は、インフレの差です。日米のCPI(消費者物価指数)を比較してみると、アメリカは前年同期比7~9.1%増で推移したのに対して、日本は0.8~3.8%増とかなりの差がありました。アメリカと比べて日本のインフレ率が低かったことが、相対的な日本株の優位性を作り出していた可能性があります。
2つ目の要因は、金融政策の差です。急速に進むインフレを抑えるためにFRB(連邦準備制度理事会)は通常の利上げ幅の3倍となる0.75%の利上げを繰り返し、急速に金融引き締めを行なっていました。対する日銀は、どんなに世界が金融引き締めに動いても、インフレ率の低さと景気の悪さを理由に、大規模な金融緩和を継続してきました。米国の利上げ継続は米長期金利の上昇を招き、相対的に株価が大きく下落しましたが、日本株もその影響を受けてはいたものの、低金利が維持されていただけに底堅く推移したのではないでしょうか。
3つ目の要因は、円安です。金融政策の差から日米の金利差が大きく拡大し、年初1ドル=115円程度で始まった為替レートは、一時151円まで上昇し、円安ドル高が急激に進行しました。これに対して日銀の黒田東彦総裁は、「急激な円安は日本経済にとってマイナス面もあるが、全体で見ると業績改善やGDP(国内総生産)を押し上げるもの」としています。さまざまな見解はあるものの、円安が日本株を支えていた大きな要因のひとつになっていたのではないでしょうか。