ネットやスマートフォンの普及で、膨大な情報に触れることができるようなった。一方で、コンテンツにあふれているのも事実で、その“消費”に追われる人たちも少なくない。最近では動画を倍速視聴することで消費効率を追求する人もいるが、なかには「“飛ばし見”が当たり前」という人も増えている。多様なジャンルで“コンテンツスキップ”する人たちは、どのような意識でやっているのか。話を聞いた。
倍速視聴は「むしろ疲れる」
都内の私立大学に通う20代女性・Aさんは、倍速視聴に“疲れ”を感じているという。
「倍速視聴って、通常のスピードで見るよりも集中力がいるから、疲れるんですよね。講義系の動画など、全体内容を把握したいものは1.5倍ぐらいの速度で再生しますが、それ以上になると、『あれ? さっきの部分何て言ってたっけ?』と一時停止して10秒、20秒戻ることも多く、時間の節約なのかどうか自分で疑問に思うことも(笑)」
最近は、ものによっては速度を上げるのではなく、“飛ばして”見ることが増えたという。
「わざわざ、見ても見なくてもいいような動画を倍速にしてまで全部見る根性はなく、もはや飛ばし飛ばしでハイライトだけ確認したら満足。YouTubeだと、『○分○秒に俳優の□□が登場』みたいなタイムスタンプがある動画もあって、便利に使っています。飛ばし見するため、途中で一旦ネタバレやネット記事で概要をつかんでから見ることもあります」(Aさん)
スキップ機能があるゲームにすっかり慣れてしまった
メーカーに勤務する30代男性・Bさんは、YouTube配信のアーカイブを追いかけることに苦心していた。
「僕はVTuberの配信をよく見るんですけど、チェックしている投稿者の配信時間が重なる問題があります。そういう時は、アーカイブを飛ばし見でチェックします。以前は倍速視聴していましたが、疲れるのでやめました」(Bさん)
コンテンツをスキップする感覚は、ゲームでも同じだという。どういうことなのか。
「最近、普通のゲームができなくなりました。スマホゲームによくあるような、放置、オート、スキップ機能があるゲームに慣れてしまったからだと思います。オートで自動戦闘やスキップをすれば一瞬で戦闘終了、放置しているだけでアイテムがもらえる、というような機能が便利すぎるんです。特に僕は複数のスマホゲームを掛け持ちしているので、本当に楽。地道に戦闘して育成しレベルを上げたり、世界を自由に探索するようなオープンワールド系は、もうプレイが苦痛になってしまいました。コンテンツをスキップしながら、達成感がきちんと得られるというのは動画もゲームも同じです」(Bさん)