固定資産税や維持費など、余計なお金がかかってしまうのが「空き家」だ。実家が空き家になったなら、売却するなどすぐに処分してしまいたいところだが、一筋縄ではいかない。そのため、親が存命であれば今のうちに「実家の処分」についてやっておくべきことは多い。まず必要なのは、将来設計を踏まえた話し合いだ。オラガ総研代表の牧野知弘氏が語る。
「現在は会社勤めの方で定年後に故郷に住むつもりなら実家を有効活用できますし、逆に誰も故郷に戻らないなら実家を残しても負担になるだけです。そうした将来設計を踏まえて親子で家族会議を開いて、実家をどうしていきたいかを話し合うことが重要です。その際、家を維持するコストを加味して売却も選択肢としたうえで、様々な段取りを検討できれば理想的です」
親が健在だからこそできることがある。今のうちに何をしておくべきか。
実家の「名義」が誰になっているかを確認する
家族会議の前に、最初に確認しておきたいのは実家の名義だ。終活アドバイザーとして多くの相談を受けている山田静江氏が語る。
「親が亡くなり実家を処分するとなった時に躓きがちなのが“名義の思い違い”です。よくあるのが実家の前が私道になっていてそこだけ名義の書き換えを忘れていたり、祖父や祖母の名義のままだったりするパターン。この場合、処分するのに当時の相続人全員の了承が必要となり、多大な手間と費用がかかります。
親が生きているうちであれば、名義変更が比較的スムーズにでき、こうしたトラブルも避けやすくなる。生前に一度調べておくべきです」
不動産の名義は、法務局で不動産の登記簿謄本を取れば確認できる。同時に抵当がついているかどうかもわかるので、調べるメリットは大きい。