家は家族の象徴、親の辿った歴史の共有を
こうした実家の処分について親と話し合う際は、「切り出し方」も大切だ。ファイナンシャルプランナーで終活アドバイザーの大和泰子氏が語る。
「いきなり『家の処分をどうしようか』と切り出すと、親に『カネがほしいのか』『死んでくれと言っているのか』と拒否反応が生じて、話が先に進みません。まずは『最近、体調はどう?』と声をかけて、『友達の実家でこんなことがあって、お母さんのことが心配になって』と遠回しに真心を込めて語りかければ、親も心を開くはずです」
牧野氏は「親の辿った歴史を共有する」ことが大事だと語る。
「家は家族の象徴ですから、不動産としての扱いを考えるだけでなく親が家で過ごしてきた歴史を親子で共有することが重要です。“なぜここに家を建てたのか”“家に関してどんな思いを持っているのか”などを話してもらえば、実家をどうすべきかが見えてくるはず」
実家の処分を考えることは、家族の歴史を考えることでもあるのだ。
※週刊ポスト2023年1月27日号