「ネイティブの先生が英会話を教えてくれるとか、部活の選択肢が多いとかのプラスアルファもありますよね。甥っ子は中学、高校と塾通いの勉強漬けでかわいそうでした。中高一貫校なら学習効率がいいから、その分、余裕ができて部活に夢中になれるんじゃないかって思ったんです」
息子は小学校低学年からやっている球技があり、中学に入ったら、その球技を部活として続けたいと希望していたのだ。
Aさんは「無理をしない受験をしよう」と決め、面倒見のいい中堅校に入学させようと小4から息子を日能研に入れた。
膨大な宿題を処理できず塾に頼る羽目に
その後、Aさんの息子は、中学受験を経て偏差値50台半ばの中堅校に入学をした。本命校なので親子で満足だった。入学式で「ご両親は中学受験、お疲れ様でした。これからは6年間私たちが息子さんの面倒をみます」と旨を学校側から伝えられて、思わず涙ぐんだという。塾のお迎えや宿題の付き添いなど、中学受験ではママが頑張る必要があったからだ。
入学後は順調に思えた。教育が手厚い分、指導が厳しい学校だったが、それが息子の素直な性格には合った。希望していた部活にも入って、毎日が充実しているようにみえた。
ところが、中2になると、数学で赤点ギリギリの点数をとって帰ってきた。「数学の授業のペースがとにかく早くて、内容も難しいんです。それでついていけなくなってしまったようです」
息子の机をみれば、宿題がちゃんとできていないことが分かる。テストで点数が足りないと、補講に出ることになる。そうなると部活ができなくなってしまう。
そこで、同じ学校の生徒が多く通っている個別指導塾に週末、通わせることにした。学校の宿題の分からないところを教えてもらうのだが、マンツーマンなのでそれなりに費用がかかる。
「週に1回で月に3万円近くかかりました。それでも息子は数学以外の成績は悪くなかったのでまだマシでした。中には宿題が全然自分でこなせなくて、週に何日もその個別指導塾に通っている同級生もいました」
それでも中2までは塾に通っている同級生は少数派だった。しかし、中3になると、高校数学に突入し、授業も宿題もぐっと難しくなる。「その頃から他の同級生たちも塾に通い出していました」
子どもの学習に無関心だった夫がある日、ダイニングテーブルの上にあった息子の数学の宿題をみて、「難関校でもないのに、中学でこんなに難しいことをやらせるんだ」と驚いていたという。