私たちのような流通業は、消費者の立場から柔軟な対応をすべきだと思います。そうでなければ、時勢を反映した競争に勝つこともできません。
アメリカの流通業は完全な競争社会で、50年以上トップを走った百貨店の「シアーズ」とディスカウントストアの「Kマート」は経営統合したものの倒産しました。ほかにも、おもちゃの「トイザらス」やスポーツ用品の「スポーツ・オーソリティ」など、多くの大企業が淘汰されてきました。そのなかで二大巨頭となったのが「ウォルマート」と「アマゾン」です。
アメリカのような本当の競争状態では、業界内に大手が10社あった場合、競争によって1社か2社しか残らないものです。更には、業界の境目がなくなり、業界を超えた淘汰が起こります。その結果、かつては隆盛を誇っていた業界がなくなった例が5つぐらいあります。
日本はまだ「競争」ではなく「競合」状態でしかありません。流通業に限らず、日本は各業界に多くの大手企業が生き残っていますが、アフター・コロナの不況下で競争が激しくなり、早晩、米国型の「競争」に移り、業界内のみならず、業界をまたいだ淘汰、再編の時代になっていくと思います。
流通業を支配する法則は「品質が維持され、かつ価格が安い商品を提供する者が勝つ」です。
※週刊ポスト2023年2月3日号