春の統一地方選を控え、日本維新の会は2月5日、大阪市内で党大会を開いた。現在約400人の所属地方議員を1.5倍の600人以上に増やすとする今年の活動方針を決定したほか、馬場伸幸代表は子ども政策について「教育無償化が、日本の未来につながると確信する」と強調した。これまでも維新は教育無償化についてたびたび触れ、政策として主張してきた。しかし、その主張に対して「あまりにミスリード」と批判の声が上がっているという。
発端となったのは1月29日に放送されたNHKの『日曜討論』。この日、番組に出演した維新の藤田文武幹事長は番組内で「いわゆる0歳から大学までの高等教育までの無償化というのは大阪限定ですが実現しました」という発言をしている。だが、この放送を見たという教育政策に携わっている東京都の教育関係者は「許しがたい発言だ」と怒りを隠せない。
「東京都では少子化対策に対してかなり手厚い施策を用意しています。職員が『すべての子どもたちに届くように』と何度も検討を重ねて生み出したものです。それが『日曜討論』を見たら維新の会の幹事長がデタラメな発言をしているので唖然としてしまいました」
この教育関係者が憤るのは、「国が全国一律に事業としてやっていることを、さも大阪だけが実現できた」というように語っている点だ。具体的にはこうだ。
「藤田幹事長は0歳から18歳までの教育費が無償化される旨の発言をしていました。ですが、大阪でやっている教育費の無償化というのは私立高校の授業料無償化(所得制限あり・年収590万円未満)と大阪公立大学の授業料無償化(所得制限あり・年収590万円未満)だけです。そのほかの無償化というのは国が全国一律にやっていることです。
こうした維新の『無償化キャンペーン』とも言えるミスリードは、過去にも同様のことがありました。2019年の7月に松井一郎代表(当時)が『大阪では増税なしに幼稚園、保育園の保育料無償化を実現した』と語っていますが、特に大阪の独自策はなく全国一律の制度か東京と比べると制限があるものです。やっていないことを、さも自分たちが特別にやっているかのような発言は有権者の誤解を招く行為でもある。見過ごしてはいけないと思います」(前出・教育関係者)