笑顔で免許返納した釜本邦茂氏
こうした危険な兆候が確認された場合、返納を検討すべきだが、家族がいきなり迫ると逆効果になりかねない。
「親子で返納について考えが違っても、お互いに納得できるよう、時間をかけて話し合うことが大切です。拙速な議論では当人が未練を残すことになります」(同前)
釜本氏も孫娘の意見を真摯に受け止めたことで、免許返納に踏み切ることができた。
「可愛がっているお孫さんや信頼している主治医などが話し合いに参加することで、免許返納がスムーズに進む場合がある。誰とどう話し合うかが重要なんです」(同前)
そうして免許返納について話し合うなかでは、「返納後」の車のない生活で困らないようにする準備も必要だ。
「車がなくなってご年配の方が困るのは、買い物と通院です。今はネット通販が充実していて、食料品から日用品まで買えるので、お子さんが一緒に通販を利用して使い方を指南するのもいい。通院もお子さんが送っていくのが難しく公共交通機関もない地域なら、タクシー代を家族で負担するなど、事前に決めておきましょう」(同前)
本人が安心して免許返納をできるように環境を整えることが大切なのだ。
認知機能低下に注意
免許の返納は、地域の運転免許更新センターや警察署で手続きできる。免許証と印鑑を持参し、申請書類に記入して届け出るだけである。家族による代行も可能だ。
その際、「運転経歴証明書」の発行申請を忘れずにしたい。申請には別途、手数料と申請用写真が必要だが、免許返納と同時に手続きでき、後日、自宅に届けられる。