「ルフィ」を名乗る組織的強盗グループによると思われる犯行が明らかになり、指示役とみられる4人が日本に移送され、逮捕された。その中で、実行役をSNSで募集する「闇バイト」の問題が注目を集めている。詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏が、自身の取材をもとに「闇バイト」の実態について解説する。
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今回の一連の強盗事件では、実行犯を集めるのに使われたのが、SNS上の闇バイト募集といわれています。
昨年2月、私が“闇バイト”の募集に電話をかけた時のことです。
「お前みたいな。なれなれしいおっさんは、嫌いなんだよ!」と電話口の男性は怒鳴ります。そこで私が「なれなれしい口調で、申し訳なかったね。それじゃ、仕事の話は聞かせてくれないのね」と答えると「そんな態度じゃ、あったりまえだろうが!」と言い放ちます。
どういった経緯で、こんなやり取りになったのか。元々は、ある番組の収録で、詐欺の実行犯を募集する闇バイトの実態を調査することになりました。私はそれに応募するかたちをとって調査するという流れでした。
私は番組スタッフに「詐欺の受け子や出し子はいつも募集されているから大丈夫だけど、念のため事前にDMを送って連絡を取っておくのもよいね。おそらくリクルーター(詐欺行為の募集をする人)はテレグラムで話そうとしてくるから」と伝え、事前にテレグラム(通話アプリ)をインストールするなどの準備をお願いしました。
その後、スタッフは何人かのリクルーターとテレグラムでやりとりをしたようですが、その際、詐欺師たちに、私の年齢を20代と伝えてしまっていたのです。収録当日、私がリクルーターに電話をかけると、案の定、「お前、嘘つきやがったな。どうみても、その声は20代じゃないだろうが!」と激高しました。