4月から自転車に乗る人にヘルメットの着用が「努力義務化」される。警察庁によると、2017~2021年まで自転車事故の死者2145人のうち、約6割が頭部の損傷によるもので、さらにヘルメット非着用者の致死率は着用者よりも約2.2倍高かったという。
自らの命を守ることにつながるだけに、ヘルメットの着用は大いに意義があるが、今回の努力義務がどこまで浸透するかは未知数。安全のため、公道での自転車走行はどうあるべきか──。
余計な荷物になるのがネック
IT企業に勤務する20代男性・Aさんは、着用義務化に先駆け、今年からヘルメットを着けて自転車に乗るようになったが、不便な点も多いと明かす。
「今年から自転車に乗る時はヘルメットを着けていますが、なかなか面倒です。着用自体よりも、ヘルメットが余計な荷物になるのが最大のネックですね。僕は最寄りの駅まで自転車を利用するのですが、その後に乗る電車でヘルメットを持っているのはめちゃくちゃ邪魔だし、混雑時は他人の迷惑にならないかとヒヤヒヤします。買い物時は買い物時で、買い物中はもちろん、荷物が増える買い物後も、自転車に乗るまでの間にヘルメットがかさばってイライラすることも」(Aさん)
安全第一とはいえ、ヘルメット着用が思いの外、不便に感じたというAさん。自身の経験から、「罰則のない『努力義務』ではなく、完全に義務化しないと、あまり意味がないのでは」と言う。
「ヘルメットの扱いは工夫次第ですね。自転車から降りた時は細いワイヤーチェーンで自転車にぶらさげる、ヘルメットが入るリュックに入れるとかですかね。理想は自転車にスマートに装着できて、盗難も防げるような収納ですけど……。ヘルメットもそこまで安いものではないので、盗難は避けたいです。正直、安全面を考えればこんなことを言ってる場合ではないんですけど、やっぱりシートベルトのように『義務』じゃないと、ヘルメットの扱いは絶対に面倒になって、挫折する人や最初から着けないという人もいそうです」(Aさん)