生徒数の多さでいえば、名門大学の付属校に通ったBさん(50代/男性)は、修学旅行が印象的だったと振り返る。
「ウチの高校はA組からR組まであって、1学年に700人以上いましたが、思い出に残っているのは修学旅行です。学年全員が一度に行くため、集合場所で点呼を取るだけでも一苦労。朝から晩まで点呼を取っていた印象です。移動は電車でしたが、乗り降りにもたついて駅員にマイクで怒られ、ホテルでは非常ベルを鳴らして従業員に叱られ、有名な寺で大騒ぎして、ウチの高校は出入り禁止になりました。たくさん生徒がいれば、それだけいろんな人がいるというわけです」(Bさん)
卒業まで1回も行かない場所が構内に山ほど
Cさん(20代/男性)が通った高校は全校生徒が3000人近くいて、その県で一番生徒数が多い学校だった。同校はスポーツの名門として全国的に知られており、運動部は軒並み全国レベルだが、Cさんは、入学してすぐに「失敗した」と思ったという。
「とにかく体育の授業が大変でした。運動部はどれも全国レベルで、プロやオリンピックを目指す人もいるので、体育教師が張り切ってハードなメニューを課すんです。とんでもない運動神経の持ち主がゴロゴロいるので、球技大会なんて命がけ。バレーボールの試合で190cm以上ある子が本気でスパイクを打ってきたり、バスケでダンクシュートする子がいたり……。
体育祭も一般の生徒が出る幕はなく、運動部以外の生徒はマスゲームをやらされます。ウチの高校の体育祭は地区のビッグイベントで、会場は県の総合運動場。もはやフェスです。保護者はもちろん、卒業生や地元住民まで観覧しますが、その前でマスゲームを披露するんです。体育祭の前になると延々とその練習をやらされるので、みんなブーブー文句を言っていました」(Cさん)
マスゲームが成立するのはマンモス校ならではだが、学校のサイズも当然マンモスだ。
「敷地は東京ドーム10個分ぐらいあり、基本的に運動部は1つずつグラウンドを持っています。卒業まで1回も行かない場所が山ほどありました。職員室も3個か4個ありました」(Cさん)