企業概要
IDOM(7599)は、「ガリバー」を展開する中古車販売事業会社。中古車買取のパイオニア的存在で、その国内最大の中古車買取実績を基盤に中古車販売事業でも成功し、国内大手に成長を遂げています。
主な事業内容は、買取を主体とする「ガリバー」を通じて買い取った中古車を、「ガリバー」をはじめ、高級車専門の「リベラーラ」や軽自動車専門の「ミニクル」、SUV専門「ブラット」など、全国に展開する約500店舗の販売ネットワークを通じて販売しています。国内最大規模の買取ネットワークにより、常時2万台ものクルマを備えています。
また祖業でもある買取車両の卸売(オークションを通じて第三者へ販売)も行っています。近年は小売事業を強化しており、小売台数は累計120万台を突破(2022年4月)。買取台数と小売台数を合わせた取扱台数は460万台を超えます。
注目ポイント
足元業績は好調。子会社売却による影響や会計上のマイナス影響がありましたが、コア事業は好調に推移しており、見通しの明るさが確認できたと思います。
小売台数増に寄与するという大型店化や粗利向上に寄与する付帯サービスの強化が順調に進展しており、将来の利益改善が期待できます。足元では大型化に伴う店舗数の減少が小売台数に影響していますが、これは副作用です。実際、大型店による小売台数は2桁成長となっており、将来の成長期待が高まってきたところと思います。
キャッシュフローも良好です。第3四半期には営業キャッシュフローがマイナス4億円となりましたが、これは大型店出店や初売りの準備の為在庫を積み増したためです。在庫はオークション相場が高値で推移している影響を受けており、これにより在庫金額は750億円と前年を40.8%上回りました。在庫台数は5.8万台と前年同期比で約0.8万台増加しました。在庫回転日数は81日と前年の78日から大きく変わっておらず、販売需要に応じた在庫コントロールができているようです。
また投資の面では、大型店や整備工場など有形・無形固定資産の取得に48億円を投資にあてるも、豪州事業売却によるキャッシュインにより、配当や借入金返済の原資となるフリーキャッシュフローは10億円のプラスとなりました。なお、5年間の中計において「大型店の出店(50店舗)に200億円、小売事業の成長を支えるDX・AI化や業務効率化の推進IT投資に20億円」が計画されています。
主な資金源は事業によるキャッシュインで賄うとしています。財務面では、自己資本比率が34%と2月末の29%から約5%上昇するなど改善が見られます。手元に465億円の現金を保有しており、借入は771億円ありますが、純有利子負債自己資本比率は0.52倍と安全圏にあります。流動比率も2倍あり、健全な財務内容となっていると言えます。
【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。