昨年来、立て続けに起こっている「スクールバスの車内置き去り事案」。そうした状況を受け、2023年4月から、幼稚園や保育所等で使用する全ての通園バスに対し、置き去りを防止する安全装置の設置が義務付けられた。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回はトヨタと日産が相次いで発表した「車内置き去り防止支援システム」について、自動車ライターの佐藤篤司氏がレポートする。
システムに感じた“不足感”とは
昨年、スクールバスに置き去りにされた子供達の悲劇が、あれだけ社会問題化したにもかかわらず、ここに来てもまだそうした報道があることに、憤りすら覚えます。子供達の大切な命を預かる大人の覚悟のほどが問われる事案だと思いますから、今回の置き去り防止装置の設置義務づけは、ようやくか、というもどかしさすら感じます。とにかく、あらゆる可能性を考え、万全を期すのは当然の責任だと思います。
一方で人間に完璧を求めるにも限界があるのもまた事実です。重要なのは、ケアレスミスを、テクノロジーを使って可能な限り対処し、人間の心の隙、気持ちの緩みをカバーすることだと思います。そうしたことは当然のようにメーカーも考え、色々な対応システムを考えています。
コースター(幼児専用車)、ハイエース(幼児バス)といった車種を持つトヨタの「車内置き去り防止支援システム」は、販売店装着の純正用品として、4月より発売が予定されています。この商品はエンジン停止(イグニッション/アクセサリーOFF)の後、運行スタッフに音声案内で車内の確認を促します。さらにその後、確認が実施されない場合や、確認を実施したものの、万一車内に置き去りにされた幼児などが自ら助けを求める場合に、車外へ警報を発するシステムです。