国内では9500万人が利用しているLINE(2023年3月、月間ユーザー数)。様々なSNSがあるなかでも、個人間のチャットや仲間同士のグループチャット、さらには通話機能も備える利便性の良さにより急速にシェアを伸ばし、今では若い世代だけではなく60代で80.1%、70代でも72.7%が利用するほど広く浸透している(NTTドコモモバイル社会研究所「2023年一般向けモバイル動向調査」より)。ただ、だからといって若い世代がLINEでのコミュニケーションに積極的というわけではないようだ――。
都内で飲食店を営むAさん(40代男性)は、若者にLINE交換を嫌がられる経験をしたと話す。
「学生のアルバイトに仕事のシフトの連絡などのためにLINEのIDを聞いたのですが、『LINEはやってないので、インスタ(Instagram)かディスコード(通話やチャットが可能なアメリカのSNS)じゃダメですか?』と言われ、教えてもらえませんでした。後日、その子がバイトの休憩中にLINEを使っているのを見てしまって……。なんでそんな嘘をついたのかとモヤモヤしています」
Aさんは気軽にコミュニケーションを取る方法としてLINEを選んだのだが、使っていないという嘘までつかれて拒否されたことを知り、「最近の若者は理解できない」との悩みを告白した。
LINE交換を嫌がる若者はどういった考えなのか。今年20歳になる女子大生のBさんは「LINEは面倒くさい」と語る。
「LINEは1つしかアカウントを作れないので基本的には家族や親友としか使いません。バイトの店長やゼミの教授といった年輩の人たちがLINEのIDを聞きたがるのがすごく面倒で嫌なので、インスタの捨てアカウントを教えてDMなどで連絡を取るようにしています」
LINEの登録には電話番号が必要となるため、必然的にメインのアカウントが1つとなる。「1つしかないアカウントを他人に教えるのはハードルが高い。それよりはメールアドレスがあれば登録でき、複数アカウントを持てるインスタなどのほうが安心です」と、Bさんは自身の心情を説明する。