読書の時間を確保するのにスキマ時間での読書を勧める精神科医・樺沢紫苑氏。スキマ時間での読書は記憶の定着にも大きな効果があるという。著書『読書脳』 が話題の、精神科医・樺沢紫苑氏が解説する。
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「読んだら忘れない読書術」で最も重要なのは「アウトプット」ですが、さらに「スキマ時間」を使った読書が、実は「記憶に残す」ために重要な意味を持っています。まとめて読書するよりも、スキマ時間に読書したほうが「記憶」において有利な点が多いのです。
その根拠について説明していきます。
制限時間があると集中力がアップする
ウルトラマンは、地球では3分しか戦えません。エネルギーが少なくなると、胸のカラータイマーが点滅し、警告音を発します。しかし、3分という活動の制限時間があることこそが、ウルトラマンの強さの秘密でもあるのです。
なぜなら、何か物事を行う場合、制限時間を決めると集中力がアップし、脳が高いパフォーマンスを発揮するからです。
例えば、電車に乗って「乗り換えまでの15分で、1章を読み終えよう!」と、時間制限つきの目標を決めます。そうすることで、漫然と読むよりも高い集中力を発揮できます。
さらに、頑張ればギリギリ達成できる、ほど良い難易度の課題に取り組むと、よりドーパミンが分泌され、より集中力が高まるとともに、記憶力も高まるのです。
電車に乗れば、必然的に下車時間も決まります。電車内で読書をすると、自然と制限時間が定められた「ウルトラマン読書術」をすることになり、集中力と記憶力が高まる効率的な読書が可能になります。
60分連続した読書と15分の細切れ読書、どちらが効率的か?
60分まとめて読書をするのと、15分のスキマ時間4回で読書をするのとでは、どちらが効率的な読書ができるでしょうか?
何かの作業を行う場合、その集中力は、初めと終わりで特に強くなることが知られています。心理学では、この現象はそれぞれ「初頭努力」「終末努力」と呼ばれます。わかりやすくいえば、始まったときの「さあやるぞ」という「最初の頑張り」と、ゴールが見えたときの「もうひとふんばり」という「最後の頑張り」です。