米国市場は、12月のFOMC(連邦公開市場委員会)を終えて、さらなる上昇を見せている。NYダウは連日続伸し、史上最高値を更新している。一方で、テクニカル分析では、過熱感も指摘されているが、はたして今後の見通しはどうなるのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんがテクニカル分析の観点から米国株の過熱感について解説する。
* * *
アメリカ株が好調を維持しています。12月のFOMC(連邦公開市場委員会)において、FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が2024年の利下げについて言及したことから、市場は利下げへの期待が意識され、株価は上昇を続けています。しかし、短期的な市場の過熱感が歴史的な水準に達していることも見逃せません。
今回は、過去に同様の過熱感が観測された際の市場動向を振り返ることで、年末から年始にかけての相場にどう備えるか、考察してみたいと思います。
米国株の過熱感を示すRSI(相対力指数)
今回、特に過熱感が顕著なのは、アメリカを代表する株価指数であるNYダウです。15日までにNYダウは7日続伸し、史上最高値を更新。過熱感を示す主要なテクニカル指標であるRSI(相対力指数)を見ると、12月15日の終値時点で85.25まで上昇しています。
RSIは0から100の間で変動し、70以上は買われ過ぎ(売りシグナルの可能性)、30以下は売られ過ぎ(買いシグナルの可能性)を示します。
アメリカの主要3指数は全て、日足チャートのRSIで70を超えており、米国株式市場全体に過熱感がある状態にあります。中でも特に目立つのがNYダウです。
NYダウの過熱感は歴史的な水準に?
私自身、NYダウのRSI(相対力指数)が85を超える状態をほとんど記憶に留めていなかったので、調べてみました。
すると、2018年1月26日以来、5年11ヶ月ぶりの高水準であることが分かりました。さらに驚くべきことに、それよりも前にRSIが85を超える事例は1996年(27年前)まで遡る必要があります。
つまり、今のNYダウの状態は数年から数十年に一度見られるほどの過熱感があり、市場の調整が入りやすい状態にあるといえます。