3月18、19日の日銀の金融政策決定会合でマイナス金利政策が解除されるとの見方が広がっている。現実にマイナス金利が解除された場合、株式相場にはどのような影響があるのか。また、その際に注目されるセクターにはどのようなものがあるか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が具体的を挙げて解説する。
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日銀の政策決定会合でのマイナス金利解除への機運が高まっている。3月7日に厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」1月分の速報値によると、基本給と残業代などを含んだ1人あたりの2024年1月の給与は平均で28万2270円で、前年の同じ月と比べ2.0%増え、25か月連続の増加となった。
物価変動の影響を反映させた実質賃金は前年同月比0.6%減とマイナス幅が13カ月ぶりの水準に縮小しており、いよいよ実質賃金のプラスが射程圏内に入ってきた。
しかし、マイナス金利の解除や緩和政策の終了といった思惑につながれば、せっかく「預金から投資へ」という流れを作ってきた状況に冷や水を浴びせかねない。
実際、「毎月勤労統計調査」の結果を受けて日銀の金融政策修正の思惑が高まったこともあり日本マーケットは大きく下落し、日経平均は4万円を割った。実体経済が活況であるというデータが金融政策修正の思惑につながり、それが短期的には株式市場にマイナスの効果を与えるケースがあるのだ。
このように金融政策修正を見据えた場合、どのようなセクターにアドバンテージがあるのか、投資戦略を考えていきたい。
【1】銀行セクター
金融政策修正の恩恵を受けるセクターとして金融株、特に銀行株は期待が持てるだろう。今の日本経済を見渡すと、春闘で大企業の多くが賃上げの発表を行っている。これは銀行の預金残高を大きく増加させることにつながる。
また、3月3日に発表された設備投資額も前年比で16.4%増と、過去5年で最も活況な伸びを示している状況であり、設備投資が活況であれば、銀行の融資額も増加することが考えられる。この環境は当然、預金・貸出金・有価証券利息などの収支である資金利益、各種手数料の収支である役務取引等利益の大幅増益が期待できる。
メガバンク、地銀、問わず、これから銀行セクターが大相場になる可能性も十分考えられるのではないか。