家計

かつてギャンブルの“沼”にハマったオバ記者 「子供の頃から苦労してきたのに、なぜお金を粗末にするの?」の質問への答えらしきもの

オバ記者こと野原広子さんが、かつてギャンブルの“沼”にハマっていた時期の心理を振り返る(撮影/楠聖子)

オバ記者こと野原広子さんが、かつてギャンブルの“沼”にハマっていた時期の心理を振り返る(撮影/楠聖子)

 ドジャース大谷翔平選手(29才)の元通訳・水原一平氏(39才)が告白したギャンブル依存症とは、どのような心理状態なのか? かつて自身もギャンブル依存だった『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが綴る。

 * * *
 大谷翔平選手(29才)の元通訳・水原一平氏(39才)の巨額窃盗スキャンダルを友人のUさん(49才・会社員)が、まぁ、怒るまいことか。「600万円ならどうやって返済するかって話になるけど、6億8000万円なんてあり得ない!」と。

 そんな彼に「だよねぇ」と言いつつ、私はまったく別のことを考えていた。この連載でも何回か書いたけど、私は32才から53才まで賭博という“沼”に首までどっぷりだったの。

 昼はパチンコ、夜は麻雀、土日に時々競馬。合間を縫って原稿を書いたりバイトをしたり。銀行口座がカラになったら、当たり前のように消費者金融から借りた。そんな私の体験から言うと、いきなり大金をかけるギャンブラーはいないんだよね。

 かまどでお米を炊くように「初めチョロチョロ」で、いつの間にか「中パッパ」になって、最後は「赤子泣いてもふた取るな!」と鬼の形相に至る。

ギャンブルで使う一万円札は枯れ葉みたい。私はタヌキ?

 私がその“最終局面”に近づいたある日のこと。われながら「私はおかしい!」と思うことがあったのよ。

 近所に感じのいいお肉屋さんがあって、いつもちょっとだけ多く秤に載せてくれたの。それがどうしたことか、その日はお釣りの金額が合ってないような気がする。秤の加減で合っているようにも見えるけど、いや、やっぱりおじさん、間違えている! で、私は踵を返して店に文句を言いに行ったんだよね。おじさんは黙って、私の言う差額の12円を20円にして手に載せてくれた。

 ……後味が悪いなんてもんじゃない。だってその日は朝からパチンコで一万円札が5枚飛んでいるんだよ。なのに、なぜ10円にこだわる? しかも家に帰って考え直したら私が計算違いをしていたし。

「何やってんだよ!!」と自分のほっぺたを引っぱたきたくなった。で、なぜか考えた。あえてきれいな言い方をすると、ギャンブルで使う一万円札は枯葉みたい。で、それを操っている私はタヌキ? 要はお金を使っているという実感がいまひとつないんだよね。だから、銀行のキャッシュディスペンサーでも消費者金融の借り出し機でも、“遊び道具”の一万円札が出れば出るだけ出してしまう。だけど、命をつなぐ今夜のおかずのお肉となると超“現実”だ。たとえ10円でも間違いがあってはならない!──って、まったくバカも休み休み言え、といまなら言えるわよ。

次のページ:重たいお金をどこまでも軽くしてやる。軽んじてやる

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。