株式投資の売買には、現物取引と信用取引がある。信用取引の特徴とはどのようなものか。自分は現物派だから関係ないと思っている人もいるだろうが、信用取引を知っておくことで銘柄選びの際に役立つことがある。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第90回は、「信用取引」について。
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株式投資の売買には、現物取引と信用取引の2種類あります。NISA(少額投資非課税制度)では、現物取引しかしないので、信用取引についてはまったく関知せず!という人もいることでしょう。ところが、現物株オンリーの投資家さんも、信用取引について知っておいたほうが有利になります。
信用取引の基本的な仕組み
信用取引は、証券会社から資金や株を借りて売買を行う方法です。一般的に行われている現物株取引では、100万円の資金では、100万円以内でしか株を買うことができませんが、信用取引では、自己資金の約3倍までレバレッジをかけて取引することができます。つまり30万円の資金で90万円ほどの株が買えることになります。
また、現物取引では、株を買うところからしかスタートできません。つまり買った株が上がれば利益を得られますが、下がった場合は損失となります。一方、信用取引では、売りからスタートすることができます。証券会社から株を借りて売ったあと、株価が下がれば、それを買い戻すことで利益となります。株式投資家にとって、株価の下落はもっとも忌み嫌うものですが、信用取引を行えば、下落も楽しめる(?)かもしれません。
ただし、信用取引で、自己資金以上の売買をすればその分ハイリスクになりますし、売りから入った場合、逆に上昇した際は、天井がないため思いもよらぬ損失を負ってしまうこともあります。株式投資をゆったりとマイペースで楽しみたい人には、無理してする必要がない取引です。