日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し、初の4万円台を突破してから2か月余りが過ぎた。4月には一時3万7000円を割り込むなど、依然として伸び悩む展開が続いている。はたして2024年後半以降の株式市場はどう推移していくのか。カブ知恵代表の藤井英敏氏が、今の日本が置かれた経済情勢を踏まえて分析する。
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足元で日本の景気は決してよくない。GDPは今年1~3月期にマイナスに転じ、実質賃金は25か月連続のマイナス。賃金が上昇しても物価高に追いつかない状況が続いている。6月から1人4万円の定額減税が始まったが、それだけでは個人消費の回復など期待できるわけもない。これだけ景気がよくないのに物価が上昇している最大の要因は、円安にある。加えて長期金利も上昇しているなかでは、株価の上値が重くなるのも当然だろう。
しかし、見方を変えると、株価は「失われた30年」を超えてもなお、この水準にいることは大いに評価できる。そして長きにわたるデフレから脱却してインフレに向かうことは間違いない。インフレになると、商品の値段が上がり、企業は収益を上げやすくなる。業績がよくなれば株価も上がる可能性が高まるため、「インフレ=株高」という構図になる。しかも、欧米ではインフレ抑制のために利上げが進み、ようやく鈍化し始めたのとは対照的に、日本はこれからインフレが加速する。長期的に見れば、世界の株式市場の中で、もっとも魅力的な市場と言えるのではないか。
日経平均は今年に入ってから史上最高値を更新し、4万円を突破したが、これからインフレが加速することを考えれば、まさにこれから「株高の本番」を迎えると考えられるだろう。もちろん、株価は一方通行で動くものではない。株高トレンドのなかにも上下動はあるもので、日経平均が4万円を超えて以降、足踏みが続いている今の段階は、一時的な調整局面と考えてよいだろう。