投資情報会社・フィスコが10月7日~10月11日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。イスラエルとイランの緊張が高まり、軍事衝突への警戒から一部通貨に対するリスク回避的な円買いが強まる可能性があるが、同時に安全逃避的なドル買いが強まり、過度な米ドル安円高は抑制される可能性があろう。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利下げに踏み切り、景気減速なら一段の緩和を進める方針。10月11日発表のインフレ率は鈍化が見込まれるため、ドル売り要因となりそうだ。
一方、イランは1日、イスラエルに対しサイル攻撃し、一部は空軍施設に着弾。それに対し、イスラエル軍は、イランの支援を受けたイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」との戦闘状態に入り、レバノンに地上侵攻した。中東情勢は次第に緊張度合いを高めており、戦闘が激化すれば金融市場や商品市場は混乱を避けられない。投資資金はリスク資産から安全資産に流入し安全通貨の円に買いが入りやすく、有事のドル買いも強まる。日本では石破首相が新政権を発足。日本銀行の金融正常化の方針を容認するとみられていたが、日銀の追加利上げに対し慎重な見方を示している。そうした見解は円売り要因となり、主要通貨を押し上げている。
なお、石破氏は10月9日に衆院を解散する方針だが、中東の戦況悪化なら10月27日に予定する総選挙の日程にも影響を与えかねない。
【FOMC議事要旨】(9日公表予定)
FRBは10月9日、9月17-18日にFOMCの議事要旨を公表する。政策委員の半数近くは慎重だったことが裏付けられれば、ドル売りは後退しそうだ。
【米・9月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の米CPIは前年比+3.2%と予想される。インフレ率の大幅な鈍化は期待できないが、市場予想を下回った場合、11月大幅利下げの可能性が高まり、ドル売り要因となろう。