10月27日投開票の総選挙では、自民党が56議席減という大敗を喫した。こうした総選挙では巨額の金が動く。国政選挙は全額国費で賄われ、国から選挙の実務を担う都道府県などに交付される。石破茂・首相は衆院を解散すると、10月11日に総選挙経費として予備費から約815億円を支出することを閣議決定した。では、その費用は一体どう使われるのか。取材を進めるとメディアに多大な額のカネが“バラ撒かれていた”実態が発覚した。選挙関係者が言う。
「各自治体は国の指示がないとポスター掲示板の発注や、有権者に郵送する投票所入場券の印刷に取りかかれない。準備には少なくとも1か月以上必要だが、今回は10月9日解散、27日投開票という超短期決戦だったから、投票所入場券の印刷が間に合わずに有権者に届くのが遅れたり、いつもの開票所が押さえられないといった混乱が全国で起きた」
石破首相が国会で首相に指名される前日に「10月27日」という日付まで特定して総選挙を予告するという“フライング解散予告”を行なったのは、そうした裏事情があった。
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