「2024年問題」の影響を大きく受ける建設業界(イメージ)
従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする“人手不足倒産”が相次いでいる。国内最大手の信用調査会社「帝国データバンク」が今年1月9日に公表した調査結果によると、2024年の人手不足倒産は累計342件発生しており、2年連続で過去最多を更新した。
なかでも、もっとも深刻なのが建設業界だ。同調査によると、建設業の人手不足倒産は99件であり、業種別で最多かつ全体の3割弱を占める。また、2022年には34件であった件数は、ここ2年で3倍近くに急増している。
いったい建設業界になにが起きているのか。建設会社を経営する家に生まれ、会計・法律知識にも詳しいクラフトバンク総研所長・高木健次さんの著書『建設ビジネス』より、建設業界の“人手不足倒産”を紐解く。(同書より一部抜粋して再構成)※高の正式表記ははしごだか【全4回の第2回】
建設会社の倒産が激増した背景
「景気が良くなると、建設会社の倒産が増える」
建設業界はコロナ禍の影響も落ち着き、仕事はたくさんあって景気が良い、と言えます。しかし、2023年~2024年上半期にかけて、建設会社の倒産(破産などの法的整理)件数は過去にないほど増加しており、調査会社・帝国データバンクは「2024年は過去10年で最も倒産件数が増える」と予測しています。
なぜ今、建設会社の倒産が増えているのでしょうか?
・建築資材費・物流費の高騰
・コロナ関連融資の返済開始
・税金、社会保険料の滞納(年金機構などによる督促)
・人手不足
この4つが主な原因です。
特に増加しているのが「社員の転職・退職」をきっかけとした「人手不足倒産」。景気回復によって転職が活発化しています。全産業ベースですが、転職希望者は7年連続で増加しています。「転職35歳限界説」も薄れ、30代~50代の転職も活発化しています。
建設会社は社内に専任技術者と言われる国家資格者、経験者を常勤で配置しなければ建設業許可を維持できません。「人がいないと売上が立たない産業」と言われる理由です。