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ビジネス

音楽シーンの発信拠点「渋谷タワレコ」30年間の変貌と目指す先 「CDだけを売る店」から「体験できる店」へ、客層も幅広い年代に変化 レコード売り場は海外客も取り込み賑わう

外国人観光客の撮影スポットともなっているタワーレコード渋谷店

外国人観光客の撮影スポットともなっているタワーレコード渋谷店

 TOWER RECORDS渋谷店(以下、渋谷タワレコ)が1995年3月5日に宇多川町から現在の神南1丁目に移転し、今年で30年。SNSの登場やサブスクの台頭など、カルチャーを取り巻く環境が大きく変わるなか、「応援する人を応援する」をコンセプトに、渋谷タワレコは “体験型発信拠点”として、その存在感を強めてきた。

 2024年には、6階で展開していたアナログレコード専門エリア「TOWER VINYL SHIBUYA(タワーヴァイナルシブヤ)」の売り場面積を2倍に拡大。1940年代後半に登場したアナログレコードへの注力は意外にも思えるが、売上は右肩上がりの好調だという。

 音楽シーンも音楽の楽しみ方も目まぐるしく変わるなか、渋谷タワレコが目指す世界とは。営業戦略室広報部の谷河立朗さんと渋谷店副店長の石黒大貴さんに、話を聞いた。

「単純にCDを販売する店」から「体験型の店」へ

 30年の歴史のなかで、渋谷タワレコがもっとも大きなリニューアルを行ったのは2012年。施工費10億円以上をかけ、「単純にCDを販売する店」から360度エンターテイメントストアをコンセプトに様々な「体験できる」店づくりを意識した。背景にあったのは、急激なSNSの浸透だ。

 日本では2011年に発生した東日本大震災の際、Twitter(現・X)の情報拡散力が広く認知され、ユーザー数が一気に増えた。当時いち早くSNSと音楽ファンとの親和性に目をつけたのがタワレコだ。新譜情報はもちろん、店ではどんな情報を持っているのか、何が注目なのか、店舗ごとが積極的に発信する体制を整えた。

 さらに谷河さんは、「特に渋谷タワレコでは、『体験したことを発信できる』拠点としてのベース作りを意識した」という。

「2012年のリニューアルでは、インストアライブの会場になっていた地下1階のスペースを、設備や環境を整えてライブ配信が可能な空間に改装。各フロアにもイベント展開が可能なスペースを設置したほか、2階には『TOWER RECORDS CAFE(タワレコカフェ)』をオープンしました」(石黒さん)

 タワレコカフェでは、THE YELLOW MONKEYSやTWICEなどのアーティストや、『推しの子』『呪術廻戦』といった人気アニメとのコラボを積極的に実施。常時さまざまなファンが集うことで人の流れが生まれ、客層にも変化があらわれたという。

「10年ほど前、CDを買うことを目的に来店する方は40~50代の男性がメインだったのですが、近年そこに20〜30代の若い女性客やアニメファンが増えたことで、結果的にはより広い年齢層のお客様にご来店いただけるようになりました」(石黒さん)

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