「コロナショック」に伴う経済危機が懸念される中、アメリカやイギリスでは「マイナス金利導入」の可能性が言及されているが、はたしてマイナス金利は金融市場へどのような影響を及ぼすのだろうか。カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんがマイナス金利導入の効果について考察する。
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日経平均は3月に16000円台まで下落したものの、6月頭には22000円台まで反発。実体経済と乖離した株高に見舞われ「コロナバブル」とまで言われるようになりました。
株価の急反発は景気回復によるものではなく、政府や中央銀行の景気刺激策や金融政策による影響が大きいとされています。現在、アメリカやイギリスでは次なる金融政策のひとつとして「マイナス金利導入」が議論されています。
トランプ大統領はマイナス金利を導入すべきと言及していますが、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長はマイナス金利を直近で導入することは否定しています。EU(欧州連合)や日本など、他国のマイナス金利導入による効果を考慮してのことかもしれません。
一方、イギリスでは中央銀行のベイリー総裁がマイナス金利に関し否定してきたものの、一転して「金利の下限について積極的に検証している」との発言をしており、導入への可能性を残しました。
株式市場ではマイナス金利の可能性が浮上すると株価が反応し、すでにマーケットにはマイナス金利導入を織り込む動きが一部見られます。ただしマイナス金利を導入したところで実体経済が回復するのか、という点は未知数です。マイナス金利により市場に溢れたお金は、実体経済というよりは有価証券に流れるように思われ、実体経済と株価の乖離を広げるだけという見方もあります。
私は早急にマイナス金利を導入する必要はないと考えており、今は直近の緩和施策の効果を見極める段階にあると考えています。現状はこうした金融政策・景気刺激策が、株式市場や為替市場に大きな影響を与えるため、政府や中央銀行の動向には注意したいところです。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)