新型コロナウイルスによる経済への悪影響が懸念される中、日経平均株価に関してはコロナ・ショック前の水準にまで上昇した。ここまでの急回復を実現できたのはなぜか。株価が急上昇した要因について、カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
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世界各国の株価が顕著に下落し始めた2月24日の週における日経平均の始値は22900円台でしたが、3月後半には16300円台まで下落。市場関係者の間では、さらなる株価下落を警戒する声も少なくありませんでしたが、4月以降じわじわと株価は戻り6月8日には23000円台に到達しました。
コロナ・ショックで下落した分はたった3か月ほどで回復したことになりますが、ここまでの急激な株価上昇が実現した背景には、政府・中央銀行による経済政策や金融政策があります。世界各国でこれまで以上に大規模な金融緩和が打ち出されていることで、溢れたマネーが市場に流れ込んでいます。
そしてもうひとつ、今回の株高には、投資家によるショートカバー(売りポジションの買い戻し)も大きく影響していると思われます。
新型コロナウイルス感染拡大による株価の下落が、再度訪れると予想した投資家の中には、相場が上がったところで売りポジションを保有した人もいるでしょうが、一向に相場は下がってこないため、彼らのショートカバーが次々と起こり、さらなる株価上昇の勢いを作ったのではないでしょうか。
東証の海外投資家における売買動向に目を向けると、3月、4月と月間ベースで大きく積みあがった売りポジションも、5月は大きく減っています。日本の株式市場における海外の投資家は取引高も大きく、相場動向に大きな影響を与える存在です。彼ら海外勢の売りポジションの調整が、日経平均の足元の上昇に寄与しているとも考えられます。
今後、海外投資家が完全に買い越しへ転じ、新規の買いフローが日本株市場に多く入ってきた場合、日経平均がどう動くか注目です。
さて、今週金曜日の6月12日はメジャーSQ(特別清算指数)算出日です。SQとは株価指数の先物取引やオプション取引などを決済期日で決済するための「清算価格」のことを指し、中でも株価指数先物とオプション取引の算出を同時に迎える 3、6、9、12月のSQ日は、「メジャーSQ」と呼ばれます。
機関投資家などはSQ日を考えつつ、ポジションの決済や調整を行うもので、特にメジャーSQの週はそれら調整の取引量が増大することがあり、株価に大きな影響を与えることもあります。速報ニュースなどによる相場変動は普段より激しくなる可能性があるため、取引には十分注意したいところです。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)